風と星と鳥

アイドル(嵐・ジャニーズ)やアイドルでないもの(OLDCODEX・鈴木達央)の観測と短歌

連作 sideM短歌『右肩の星』全曲解説を書きました。

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2017.10.24〜12.9までツイッターにて一日一首、315プロのアイドルたちについての短歌を投稿した連作の記録です。
以前も似たようなことしていたののsideM短歌版。

【ルール、気をつけたこと】
・頭文字を「いろは歌」順縛りで一日一人ずつについて詠む。
・それぞれのソロ曲にインスピレーションを得て詠むけれど、歌詞から引用しすぎないこと(解説に「曲」「歌詞」とあるのはソロ曲についてです)
・なるべく平易な言葉で、名刺代わりの歌になるようなものをつくる
・字余り字足らずしない

1週間ネットプリントで配信もしていました。

ツイートはスレッド化していますので歌だけならここからすべて読めます。気に入った歌がありましたらぽちぽちしていただけると嬉しいです。

以下、歌と解説のようなもの。

 

【い:今はまだ見上げるだけの夜空でもいつか一番星を掴むよ (天道 輝)】
『い』は絶対輝か冬馬にしたかったので。寺島さんがブログで宗悟について『一番星かどうかはまだわかんないけど』と言ってたのとてもエモくてよかったとおもいます。

【ろ:Romantic Night 酔わせて Orderは君の望みのままに, Angel (伊集院 北斗)】
悩ましいラ行。今回はかなり英語で逃げました…北斗のよく言う『覚えていて』とか『忘れられない夜にするよ』みたいなことを織り込みたかったのですが織りこめなかった。Angelは絶対入れたかった。orderまで英語にするとくどいかなとか、こねこねしたり色々しました。カンマ入れるか入れないかとか。

【は:High Jump!行くぜ!春夏秋冬を過ごす仲間と目指すテッペン。 (伊瀬谷 四季)】
キャラの性格に合わせて歌の全体の雰囲気をざっくりさせたりとかしている例。31音みちみちに使いすぎないようにと言うのを全体的に気をつけているのですがこれも密度低めの歌。

【に:二度と目を離せないでしょ?君の心(ココ)300倍の強さで惹くよ (御手洗 翔太)】
ルビは好きに振っていいというルール。いつの間にか心のそばにいたから「ここ」って呼んでいる。たぶん心臓に指を指されながら言われてる。300倍は、木星の重力の強さが、っていうJupiterのエピソード?設定?からとりました。

【ほ:星空の瞬く蒼に導かれ歌う己のすべてを込めて (桜庭 薫)】
改作前は「星空へ歌えば傷も癒えるだろう」みたいな感じだったのですが柔らかすぎると思いひっくり返して改作。熱さを出したかったのだけど、不十分かなぁ。

【へ:変化する音の軌跡をつかまえて夢をつむいでいるカシオペア (秋山 隼人)】
曲が出る前に詠んだものなのでふわふわしている。「カシオペア」を入れたくて。音の流れは気に入っている。「変化」って単語がはまってない気もしますが、成長する年代の子たちなので、という理由で入れました。

【と:とっぷおぶ・わーるど!でかい星になる いくぜセカイがオレを待ってる (橘 志狼)】
「でかい星」とは「ビッグスター」です…(そうだね)。かな/カナ/漢字の使い方は常にこだわって選んでいます。

【ち:地図のない航海(たび)へ漕ぎ出す 帆に受けた風の強さに自信授かり (古論 クリス)】
レジェの歌は、密度濃いめ。風とはファンの声援(や、仲間の支えなど)です。

【り:Reasonを越えて迎えに来たよさあ乗って!MIRACLE Spaceship (舞田 類)】
舞田くんすきです。説明、特にないです。これも曲出る前に詠んでしまった。さいしょ「Reasonは関係ないさ」的な入りだったのですが、そうじゃないな、と思って何度か練り直しました。気に入っている。この歌はたすくさんにあげます。

【ぬ:ぬり重ねかくした君のほんとうの声をきかせてほしくて うたう (北村 想楽)】
レジェの他の二人が密度濃いめの歌なのでバランス取ってうすめに。「塗り」で筆感を醸したかった。そらくん大好きで、「みんなの声もっとききたいな」って汐谷くんの声がずっとこのころ響いていました。

【る:流転無窮(むぐう) 威風堂々突き進む 紅き拳(バディ)に背中あずけて (黒野 玄武)】
る!るはね、難しいんです…反省。二人組ユニット、神速の歌は完全に対になっていて、アルテはシリーズ、Wは独立した歌、になっています。

【を:「教え」より君にはきっと響くだろうχ(かい)を導くための情熱(あかり)が (硲 道夫)】
ルビ遊びが過ぎるやつ。わ行は一応、「ゐ、ゑ、を」の音から始まる歌になっている(はず)。言葉詰め込み過ぎたわりに足りていない、反省。彼そのものがあかりで、情熱。歌詞がかなり良かったので、引用したくなるのを抑えて詠むのが大変でした。

【わ:湧き出したままを奏でてとどけたい 胸で生まれたあたたかな音 (神楽 麗)】
連作の中であまり言葉を重複させないように気をつけているのですが、都築さんと麗さんはあえて同じ言葉、似た言葉を使ってシリーズのようにしています。

【か:重ね合う音それぞれが踊り出す ここは広がる世界の途中 (冬美 旬)】
曲を聴いたら下の句がするっと出てきた。1人から2人、2人から5人、5人から、どんどん広がる旬の世界。「重ね合う音それぞれ」はもちろんハイジョのことであり、315プロのことです。

【よ:よそ見しちゃダメだよどんな舞台でもキミの驚く顔見たいんだ (蒼井 享介)】
担当。すごく悩みました。ちょっといたずらっぽい顔で言ってほしい。どんな場所でもずっと見てるよ。これからもいっぱい驚かせてね。

【た:誰の手も届かぬ高い場所で立つ“見てろ最強大天才を” (牙崎 漣)】
他の歌はほとんど一人称視点ぽいのですが、これは誰かの見た牙崎のすがたな気がします。見上げる視点。「最強大天才」いれたくて、いれました。

【れ:れっつめいくkawaiiたいむ フワモコで なりたいかのん なるよ見ててね (姫野 かのん)】
日本語が通じてないシリーズ。「フワモコで」がどこにかかっているのかというと、どこでもなくて、歌全体にかかってる気がします。ツイートとネトプリで直し入れてるものがいくつかあるのですが、後者が最終版です。

【そ:空渡りはるか見わたす後悔も挫折も越えて決めたこの道 (鷹城 恭二)】
ちょっと歌詞に引きずられ過ぎているし硬い、反省。自信に裏打ちされた格好良さ、みたいなのをもっとおりこみたかった。

【つ:強さとは痛み知ること 迷わない どんな道(かこ)でも どんな道(みらい)も (円城寺 道流)】
ルビ遊びシリーズ。句切れが多いので無骨な感じがするけど、どこか優しいような雰囲気が出たのはルビが平仮名だからかな。気のせいか。

【ね:ねがいごと込めて束ねる 受け取ったあなた・キミ・皆 ほほえむように (渡辺 みのり)】
あなた、キミ、皆で視線が動くような歌。視線が動く歌好きです。見上げたり見下ろしたり、が歌の中に入ると動きが出る気がします。願い、祈り、幸福を束ねる人。

【な:7cmぶんの背伸びもあたしだよ「好き」を「好き」って言えるしあわせ (水嶋 咲)】
「な」は良い言葉たくさんあったのですが「7cm」をどうしても使いたくて咲ちゃんにとっておいたよ。背伸びするけど、背伸びも含めてあたしなんだって強さうらやましい。上の句が気に入りすぎたわりに下の句がいまいちかもしれない。

【ら:Luckyの女神呼んでる方向へ走れピンチもチャンスに変えて (木村 龍)】
まっすぐな道を走る途中にどんな障害があってもめげない!って風景。難産だった。もうちょっとひねってもよかったかも。

【む:胸のなか芽吹いたひかり奏でよう君と世界がくれたすべてを (都築 圭)】
アルテの歌は似てる雰囲気が流れるようにしました。「君」は麗さん。「君と世界」だし「君は世界」だったりする。都築さんの音楽って内から出ずるものというより世界との交歓によって生まれてるものだな、と思って詠んだ歌。

【う:うつむいた顔上げさせてみせたくて歌うよ「君は一人じゃない」と (握野 英雄)】
「いいね」で担当の方の間にふわっと広がってるのを感じて嬉しかった歌。表層しかさらえてない気がするので次はもっと深くも詠んでみたい。

【ゐ:居場所なら掃けば出来たが立つ場所は今磨いてるここが先端 (葛之葉 雨彦)】
「〜だが」って話し言葉で使うかな?と普段避けてる(違和感のある言い回しは歌に使わないようにしている)んですが雨彦さんならいいかなと思い。「先端」を入れたかった。居場所は常に掃除して作ってきたけどいまはそこを磨いているよっていう話。ちょっと言葉詰め込み過ぎ。

【の:伸びざかり描く未来は豪快に 掲ぐ旗号ははなまる笑顔 (兜 大吾)】
あんまり出来良くない…「掲ぐ旗号ははなまる笑顔」が気に入ったんですけど拘り過ぎたかも。「旗」は入れたかったの。でもちょっと荒削りな方が若さが感じられて良いということにした。

【お:「おもしろい」だけで宇宙も伝統も時空も超えて、送る「ぱわぁ」を! (猫柳 キリオ)】
勢いで押し切った歌。好奇心ですべて越えていってほしい。

【く:来る夏がまた君の音を伸びやかにするから空を見上げてしまう (榊 夏来)】
連作用でなく単品で詠んだものだったのですが、これが生まれたことでオリピで連作やろうかなと思ったのかも。「君」は旬。年を重ねるごとに伸びていく君を目を細めて見上げてしまうんだ。君「の」「ね」を「の」びやかに、とな行の音が続くのが気に入っている。

【や:約束の場所へ Take off 夢のせた翼「見せたい空があるんだ」 (柏木 翼)】
カギカッコと英語入れたのがスパイス的な感じで気に入っている。短歌の中身より見た目のほうにこだわりがあるのかもしれないわたし。

【ま:迷ってもいいのさカップ一杯の魔法で明日元気になるよ (神谷 幸広)】
迷ってもいいんだよって体現してるキャラすごいな…するっと出来上がった歌。歌詞に寄りすぎたかも。

【け:ケーキたち並べたみたいとりどりの甘いひとときさあ召し上がれ (卯月 巻緒)】
巻緒が絶対ケーキの「け」が良いって言ったから。あのね、けから始めてケーキの歌詠むの難しいよ?だから、ケーキ題材にアイドル詠むことで納得してもらいました。ソロ曲が出る前に詠んだ歌。聴いてたら詠めなかったかも、名作すぎて。

【ふ:ふくらんだケーキは夢の味だから無二の仲間とわけあっている (東雲 荘一郎)】
ケーキシリーズ。「わけあって」の使い方に無理がなくて連作の中でこれが一番気に入っている。二番目は旬かな。ケーキって夢があるし、アイドルも夢があるし、いっぱい幸せ。

【こ:転んでも悩んでもいい手をとって夢の続きへ一歩踏み出す (秋月 涼)】
「転んでも」は過去がどうというよりは、ドジっ子感を出したかった部分。一緒に転んで一緒に歩いていきたいね。当初「夢の続きへ共に歩もう」だったのですが、「一歩」必要だなと思って、変えました。

【え:笑顔満ち肩組み歩む 今日こことつながっている記憶も抱いて (信玄 誠司)】
肩組み歩く仲間がいる、道は繋がっている。という歌。

【て:点火した責任とって どんな火の色になるのか賭けてよ、きみが (山下 次郎)】
「責任とって」なんて言われたらちょっとどきっとしますよね…というだけの歌。点火、火の色、は化学とか炎色反応のこと。「きみが」が平仮名なのちょっとあざとすぎた。

【あ:新しいユメのトナリにキミがいて走り出したい虹の架け橋 (蒼井 悠介)】
「走る」って言葉を入れたくて。担当外も難しいけど担当はもっとむずかしかった。カナつかうの悠介っぽいかなって。「キミ」は誰で読んでも可です。Wを対の歌にしなかったのは、こじらせた監督の考え過ぎです。

【さ:最高の景色見せるよ約束の場所まで決して手を離さない (天ヶ瀬 冬馬)】
一首めを輝に譲ったので冬馬には315の「さ」を担ってもらいました。「楽勝」を入れたかったけれど入らなかった。

【き:きょうの日にあなたに逢えた歓びの音色は清く澄みやかにある (清澄 九郎)】
するっと出来たけれどきれいめ過ぎた気もする。九郎くんのこじらせ感を入れるか迷って、入れなかった。

【ゆ:ゆずれない想い拳に込めて撃つ 語る瞳に宿した炎 (大河 タケル)】
あまり多用したくなかったのですがこれも他者視点。多くは語らないけど温度の高い炎。

【め:めげないって決めたよ見ててひとつずつ「できる」がふえて大きくなるよ (岡村 直央)】
もふの歌は共通して「ぼくの成長を見守っていて」という内容を詠んでいます。

【み:魅せましょう、生きると決めた舞台上ここが一番眩しい場所さ (華村 翔真)】
「魅」とか「眩」とか他で使っていない漢字があると連作の中でもここだけ光が強く当たっているように見える気がする。

【し:シアワセのうたとどけるよ世界じゅう手と手つなげば笑顔ふえるね (ピエール)】
しあわせの「し」は絶対ピエールだよと思い。書いてる以上のことは詠んでいないです、心から幸せであってほしい。

【ゑ:詠唱が轟きわたる地にて我が闇へ誘う調べ甘美に (アスラン=BBII世)】
日本語が通じてないシリーズ。癖が強いキャラなのでパッと見ただけで癖強い歌にしたかった。何言ってるのかは深く考えない。ぼくと友達になって歌を聴いてください!という歌。

【ひ:一すじの希望がさして歌になる“自分”偽りなき物語 (九十九 一希)】
気に入っているけれど読みづらいかも。「〜歌になる」で一回区切ってください。一すじの希望はもちろん涼です。歌であり自分であり物語である。「一希」を浮きだたせたくて「すじ」とか「さして」とか平仮名にしてます。

【も:燃え上がる想いは熱く!突き進む 黒き頭脳(バディ)に背中あずけて (紅井 朱雀)】
バーニン感を入れたくてあとは勢いで押し切り。玄武くんとは対になってます。

【せ:青春のビート刻んでそれぞれのリズム重なり合って輪になる (若里 春名)】
キャラクターに関する言葉を並べたら自然に組み上がっていた。それぞれのリズムはもちろんハイジョのこと。重なり合って大きな輪になって世界一幸せなドーナツになってほしい。

【す:すみわたる夜空(そら)がステージ 分けあった夢を託した右肩の星 (プロデューサー)】
最後はプロデューサーで、連作タイトルで締めると決めていたのであとは間を埋めました。「右肩の星」は笠間さんの言葉から。「訳あった」人たちなので雲が晴れてステージはすみわたっていてほしい。夢を分けあったのはアイドルとプロデューサーです。それを右肩に託したよ…っていうお話でした。

以上です、ここまで読んでくださりありがとうございます。詠んでから間があいたのもあり反省文が多くなってしまった。sz_utaは、詩しかツイートしないと決めているのでリプライには反応できないかもしれないですが…中には一応こんな人間がいるので、何らかの方法(DMとか)ではお話できます。sideM短歌はこれからもタグのじゃまにならない程度に続けていきたいと思っています。よろしくおねがいします。

 

おまけ。
sideM短歌で連作を作るのは二度目で、一度目は“アイドルになってよかった”という連作でした。

なんて言い方をしたらいいかわからないのですが、「アイドルになってよかった」はフリー素材です。よかったら、どなたか詠んでやってください。